鮮やかな強襲劇だった。秋華賞TR「第33回ローズS・GII」(芝1800m)は20日、阪神11Rに17頭で争われ、後方2番手を追走した7番人気のタッチングスピーチ(栗東・石坂)が目の覚めるような末脚を発揮してV。春の実績馬を撃破し、牝馬3冠最終戦の主役候補に踊り出た。勝ちタイムは1分45秒2。桜花賞馬のレッツゴードンキ(4着)がペースをつくって、5F通過が58秒4とよどみのない流れ。後方でじっくり構えて、直線は最後方から運んだ1番人気のミッキークイーン(2着)と並ぶような形でスパート。坂を上がってからはオークス馬を上回る脚勢で加速し、1馬身半差をつけてゴール板を貫いた。さらに1馬身1/4差の3着に入ったトーセンビクトリー(2番人気)までが秋華賞(10月18日・京都、芝2000m)への優先出走権を手にした。

　道中は後方でじっくり構えたタッチングスピーチ。「マイラーが多いメンバーだったから、やっぱり速かったよね。忙しかったけれど、この馬はとてもリラックスしていた。スタートはあまり良くなかったが、このペースが合っていたよ」とルメール。ハイペースを予見し、ためこんだ末脚を直線で見事にはじけさせた。

　直線ではオークス馬ミッキークイーンとの追い比べを制した。「外から来ていたよね。怖かったけれど、この馬は長くいい脚を使う。スタミナがあるし、とてもいいコンディションだったから」と振り返った。

　クラシックとは縁がなかったが、ひと夏越して急成長。石坂師は「春は体がごつごつしていた。(体幹の)上の肉がついて、まだ完全じゃないけど、そのあたりは解消してきた。精神面でもドッシリしている」と成長ぶりに目を細める。

　表彰式の直後、石坂師はルメールに継続騎乗を打診。快諾した名手が「とても楽しみ」と言えば、トレーナーも「(12年に牝馬3冠を達成した)ジェンティルドンナを思い出すと、かなり難しい内回りの2000mだが、堅実なレースはしてくれるだろう」と最後の1冠へ向けて期待感を口にする。成長著しいディープインパクト産駒はGI馬2頭撃破し、胸を張って大舞台へ向かう。

素晴らしい決め手を発揮したタッチングスピーチ(左)＝阪神競馬場

2015年09月21日