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馬三郎25時

TMと記者の違い

 毎年、秋風の吹くこの時季になるとなぜか「トラックマンになるにはどうしたらいいの?」という相談を受ける。馬三郎に在籍時も夕方事務所で電話番をしていると、匿名でその手の電話が1、2本かかってきていた。その熱心さにはいつも感心するが、「トラックマンと記者どっちになりたいの?」と聞き返すと、決まって「同じじゃないんですか?」という答えが返ってくる。今回は、この仕事を目指している人のために詳しく説明しよう。

 トラックマンも記者も簡単に言えば「取材記者」。しかし、取材方法が180度違うことをまずは注意してほしい。「トラックマン」は主に競馬専門紙記者のこと。時計班と想定班に分かれており、時計班はその名の通り、追い切る馬のタイムをストップウオッチを片手に計測するのが主な仕事。想定班は担当厩舎別に分かれ、厩舎がその週にレースに使う馬すべてを取材するのが仕事。昔から一人前になるには3?5年はかかると言われている。

 「記者」は日刊紙と呼ばれるスポーツ新聞の取材記者のこと。その週のメーンレースに出走する馬や注目されている馬を中心に取材し、記事にするのが仕事。取材相手が調教師や助手、ジョッキーなのは想定班のトラックマンと変わりはないが、取材スタイルがまるで違うことをこれで理解していただけるだろう。

 以前、試験の面接官を務めた時に感じたことだが、志望した大半の人が「取材して予想してテレビやラジオに出演する」というイメージを持っていた。希望や夢を持って頑張ろうとする気持ちは大切だが、本質的には「裏方」的な仕事だということを忘れないでほしいと思う。

(東京デイリー・坂本卓也)

2009年09月22日