馬三郎25時

佐野裕樹

実にうらやましい信頼関係

　京都記念を予定しているセラフィックロンプが、１週前追い切りで軽快な動きを見せた。見守った武藤師も「いい動きだったね」と実に満足げ。主戦・宮崎は小倉に出張中でケイコにまたがっていないが、「何も心配してないよ。万全に仕上げて、あとはあいつにバトンを渡すだけ」と信頼は厚い。

　その宮崎に先日、競馬場の帰りに声を掛けられた。「すいません、せっかく本命を打ってくれていたのに…」と悔しそうな表情。「俺の本命が重かったのかな？」なんて冗談とも本気とも（？）取れるような会話から、いつしか競馬に対する熱い思いへ。年末の愛知杯を制し、重賞２勝を挙げたセラフィックロンプの話になると「武藤先生にも、セラフィックロンプにも本当に感謝しています。結果を出してもっともっと信頼されるジョッキーになりたいです」と目を輝かせた。

　最後はそんな言葉でお開きとなったが「ちょっと会わなかった間に、ずいぶん男らしくなったなぁ」と感心せずにはいられなかった。

　武藤師の“信頼”と宮崎の“信頼”…。人はこうやって成長していくものなんだろう。

　空っぽになった財布の中身を見つめながら、「嫁に信頼される日は来るのだろうか？」と考えたら、何だか情けなくなってしまった。

（美浦時計班・佐野裕樹）

2011年02月04日