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馬三郎25時

障害馬としての第一歩にガッツポーズ

 障害レースを見ていると、大半の馬がスムーズに飛越している。しかし、皆、練習を積み重ねてあそこまで来ているのだ。最初からスピードを殺さず跳べる馬などほんのひと握りである。
 
 調教の合間に角馬場へ目をやると、一番低い障害を前にちゅうちょしている馬がいた。エーシンハクレイと西谷騎手だ。鞍上がいくら促しても全く進む気配はない。しばらくすると元騎手の金折も応援にかけつけ、後ろからプレッシャーを与える。が、動かない。むしろ懸命に踏ん張っている。たかだか50センチ前後の障害が跳べない…。そう、恐いのである。レースを見ているファンには想像がつかないかもしれないが、馬も人間と同じように、初めての体験に足がすくむ。
 
 しばらくすると、西谷騎手が馬を降り、自ら馬を引っ張り出した。馬上には誰も乗っていない状態。手綱を引っ張り、勢いを付けてジャーンプ。障害を跳んだのは西谷騎手だけだった。馬は相変わらず、ちゅうちょしている。もちろん、金折は後ろからプレッシャーをかけている。相当な重労働だろうが、その動作を延々と続けていた。30分以上は繰り返していただろうか、ようやくエーシンハクレイが跳んだ。いや、跳んだというよりまたいだと表現した方が的確だろう。そろりとまたいだのだ。「ヨシ!」なぜか自分がガッツポーズをしていた。知らないうちにエーシンハクレイが大好きになっていたのだ。西谷騎手もすかさず鼻面をなで、褒め称える。一度、跳べばそこからはあっという間。再度、西谷騎手がまたがり、勢いを付けてジャーンプ。今度は跳べた。スピードが増し、障害の高さも徐々にレベルアップ。あとは練習の積み重ねだろう。

 障害馬を一人前に育てるのは大変な作業だ。携わっている関係者の皆さんは本当に苦労していることだろう。しかし、その努力が報われるかどうかはまた別の話。厳しい世界である。エーシンハクレイも今後、どういう道を歩むか分からない。ただ、もしも障害レースに出てきたときには、応援を込めて単勝馬券を買うつもりでいる。もちろん、勝敗は関係ない。無事に回ってくればそれで満足だ。

(栗東調教班・竹村浩行)

2012年10月11日