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馬三郎25時

驚きを隠せなかった函館の馬場

 上がり3ハロンの数字を大事にするのは世界を見ても日本だけという話を聞く。今や予想でも重要とされているファクターで、数年前は34秒台前半の脚を使えば相当なものと言われていたが、スローペースになれば33秒台はおろか、条件次第では32秒台まで突入してしまうほどに近代競馬のスピード化は進んでいる。

 そんな日本競馬にあって、すさまじい記録が誕生した。8月31日の函館12R大雪ハンデキャップの勝ち時計は2分15秒2。レース上がり3Fは45秒0!! この数字を見た時はさすがに驚きを隠せなかった。普段の調教でも15-15だと無理をしない程度の調整レベル。その時計で1000万特別の芝レースを勝ててしまうのだから、いかに函館の芝状態が悪かったかを物語っている。

 騎乗していた黛は「正直スピード感はありませんでしたね(笑)それでも後ろから来れない馬場ですから、もうあそこまで悪い状態で走ることはないと思います」と話すと、隣から大野が「普通なら最後方を走っているようなペース。あれだけ遅いとしっかり追うだけでも結構難しいんですよ。よくあれだけ追えたよね」と問いかけると、「やっぱり先頭に立っていると違うのかな。自分が先頭だってことは分かっているから、自然と集中が増すのかもしれませんね」と答えていた。

 札幌競馬場改装のために函館競馬がロングラン開催となったこともひとつの要因。もうこんな馬場をお目に掛かることは恐らくないだろうが、こんな競馬もあったと後世に語り継いでいきたいと思う。

(美浦厩舎班・安川時男)

2013年09月11日