一瀬正人

思い出のバックナンバー

　時々、読者から「馬三郎紙面のバックナンバーはありますか？」という問い合わせがある。保管用として手元に置いておきたいということだが、残念ながら販売していない。

　筆者も以前、某競馬週刊誌のバックナンバーを購入した経験があるだけに、その気持ちは分かるつもりだ。オークションサイトにて、５２週×約１０年分で、落札金額は１万円弱。宅配業者が３人がかりで持ち運んだその量の多さに、その時は「失敗したかな?」と苦笑いした。

　「競馬は記憶のゲーム」と言われるが、個人的にはこのバックナンバーは利益を生み出す記憶を得られる以上に、当時の思い出を深くとどめておきたいために購入した。レース前の展望で当時どう感じたか、どんな馬券を買ったか、週末を待ち焦がれた高揚感などが、手に取るだけで当時の記憶がよみがえってくる。

　今でも落ち込んだり、悩んだりすると時々見ている。懐古主義だと笑われるかもしれないが、競馬で感動した思い出に勇気づけられ、初心に帰ることも多い。お気に入りのナンバーは厳選して、将来的に実家を離れたとしても持って行くつもりだ。

　最近は置く場所にほとほと困り、親からはゴミ扱いされているが、絶対に捨てられない、かけがえのない物だと思っている。老後には専用の書庫でも構え、優雅にコーヒーでも飲みながら思い出を振り返りたい。大きな夢の一つである。

（編集部・一瀬正人）

2010年03月01日