森田真司

ぜひ大好きな橋本美純厩舎を

　先週から新人騎手がデビュー。すでに初勝利を挙げた平野騎手を始め、各場でターフをにぎわせた。来る者があれば、去る者ありで、２月いっぱいで栗東では角田、西原、橋本、３人の騎手がムチを置いた。ジャングルポケットやヒシミラクルの主戦でＧ?を10勝した角田、栗東の初の女性騎手となった西原に比べると、橋本は地味な印象をぬぐえない。

　ＪＲＡ通算338勝。主なお手馬は地方交流の長距離ダートで活躍したマイターンくらいと、やはり地味。そして極めつけは、ウイルス性の腸炎で、最後の騎乗となる予定だった２月27日に騎乗できなかったことだろう。「オレらしい最後やったね」と、自虐気味に語ってくれたが、その目はどこか寂しげだった。「こんな終わり方だから、引退セレモニーは辞退しようと思っている」との言葉通り、翌日に阪神競馬場で行われたセレモニーに姿はなかった。

　しかし、そんな橋本元騎手が私は大好きだ。顔をくちゃくちゃにして笑うしぐさも、人との交流を大事にする人間味あふれる話し方も好きでたまらない。今後は、助手として働きながら、調教師試験の勉強をするという。ぜひとも、合格して橋本美純厩舎を開業してほしいものだ。その時は、多くの人たちが人格者である彼の元に集まっているはずである。もちろん私も…。　

（栗東想定班・森田真司）　　

2010年03月10日