加藤剛史

彼女が日本中を熱狂させる

　今さらながら、中央競馬においてウオッカの引退は相当な痛手となっている。64年ぶりの牝馬による日本ダービー制覇という最高のパフォーマンスが、ファンを引きつける要因となり、彼女の姿をひと目見ようと出走当日の競馬場は近年まれに見る混雑状況になっていた。

　今年の天皇賞・秋は昨年に比べ、入場人員23％減、売り上げ17％減という散々な数字だった。しかし、今回のブエナビスタの強さは、ファンを引きつける圧巻のパフォーマンスだったと言えるのではなかろうか。

　最後まで楽な手応えで２馬身差Ｖ。これまでの彼女には見られなかったど派手な勝ちっぷりは衝撃的で、この馬の本当のすごさを知らされたはず。ドバイに遠征しても２着と崩れず、複勝圏内を外したことがない戦績はウオッカをしのぐと言っても大げさではないはずだ。

　ＪＣ―有馬と古馬王道路線を歩むブエナビスタ。日本競馬を盛り上げる存在であることは間違いなく、“スター性”が芽生えてくることを切に願っている。

（美浦時計班・加藤剛史）

2010年11月03日