人々を元気づけるような熱いレースを

　その時、わたしは東京都江東区木場にある会社の４Ｆにいました。１２日付紙面用のコラムを書き終わり、ホッとひと息つこうかと思ったとき、ゆっくりとした横揺れが…。その後、どんどん揺れ幅が大きくなり、テレビモニターからは東北地方の悲惨な状況が入ってきました。

　土日は中山競馬場勤務のはずでしたが、急きょ休日に。でも、遊びに行く気になどなれず、テレビの前から離れられませんでした。14日になっても、首都圏では一日中、体に感じる余震が続きます。美浦トレセンはようやく、水道からまともに水が出るようになったばかりだとか。コンビニやスーパーも品不足で、記者たちは食べ物を求めてさまよっていると聞きます。

　もちろん競馬に携わる者としては、今週末はぜひとも開催してほしいという気持ちはあります。これ以上、競馬界を沈下させるわけにはいきませんから。でも、14日には耳慣れない“計画停電”が初めて実施され、その段階で中山競馬場最寄りの船橋法典駅まで、電車は通っていません。こんな状況下で安全に競馬ができるのか、お客さんに来てもらえるのか、被災者やその関係者の心を傷つけないか―。問題は山積みですが、15日に３月いっぱい中山競馬での開催を中止することが発表されました。

　週末は阪神と小倉で決行するということなので、人々を元気づけるような熱いレースを、そしてわたしたち記者は競馬の楽しさを、日本中の人々に伝えなければなりません。自分のベストを尽くし、その日を待ちたいと思います。

（関東デイリー・竹下かおり）

2011年03月15日