森元要輔

ドバイから復興への希望の光を

　東日本の太平洋側を襲った未曾有の震災から、約２週間が経過した。復興へ向けての明るいニュースも届き始めてはいるものの、まだ原発、余震ともに予断を許さない段階にあり、長期戦の様相を呈している。とにかく被害が最小限にとどまるよう願ってやまない。

　今回の震災は競馬界にも大きな影響を与えており、今週も第３回中山競馬および、第１回福島競馬の中止が発表された。ともに極めて論理的で、妥当な判断だと感じる一方で、首都圏での競馬開催に対する見通しが立たないことは、ＪＲＡのみならず、多くの競馬関係者が、厳しい状況に立たされることを意味している。思いは非常に複雑だ。

　それだけに、今こそヒーローの出現を期待せずにはいられない。戦後から日本が復興した時は、人々を励ます歌があり、外国人選手相手に奮闘するレスラーが、期待に応え続ける本塁打王とクラッチヒッターが居た。人々に夢と希望を与え続けられる存在が必要なのは間違いないだろう。

　仕事柄、競馬界からヒーローが誕生することを期待している。そしてそう成りうる馬たちが今週末、ドバイで世界制覇に挑む。ブエナビスタ、ヴィクトワールピサ、トランセンド、ルーラーシップ、レーザーバレット。恐らく各陣営は過去の海外挑戦とは全く異なるたぐいの、誇りと使命を持ってレースに臨むことだろうが、是非とも吉報を届けてもらいたい。確かに、この結果で劇的に何かが変わるとは考えにくい。でも、踏み出す第一歩にはなるはずだ。

（美浦時計班・森元要輔）

2011年03月25日