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鶴谷義雄
思い出深い23年前の皐月賞
東日本大震災の影響で、皐月賞が中山競馬場から東京競馬場に舞台を移して行われた。23年ぶりのことだったが、当時の悔しさと懐かしさが、よみがえってきた。
昭和最後の年(63年)で、当方は41歳と脂の乗り切った年齢。同じ歳の安田富男元ジョッキ?とは、よほど馬が合ったのか、よくお宅にお邪魔して、記者連中と飲んでいた。
その皐月賞では人気のモガミナインに騎乗。酒を控えていた主人をさておき、当方は久美子夫人や仲間と痛飲。いつもの話題は「1番人気になると弱いね」だったが、その夜も「そちらから言うから、そうなるんだろう」と苦笑いを見せながらの楽しい時を過ごした。
レース当日、トライアルのスプリングSを制したモガミナインは断然の1番人気。いやな予感がしたのは、本人よりも仲間たちだった。パドックの気配も良く“普通に回れば勝てる”と誰しもが思っていた。ところが東京の芝2000mはスタート直後の2コーナーに急カーブがあり、そこで他馬に外から斜行されるアクシデントに遭うハメに。まだ若かった武豊に進路を妨害されてしまった。
G?制覇は、はかなくも散ることになったが、それからも『安田富男1番人気伝説』は続いた。01年に引退した彼は現在、栃木県の那須でトミー育成場の場長として頑張っている。ダービーには来場する予定だけに、また昔話に花をさかせたいと思っている。
(美浦時計班・鶴谷義雄)
2011年04月28日
著者紹介
鶴谷義雄
山口県出身、07年夏の福島開催で還暦を迎えた。郷土の先輩に作詞家の星野哲郎氏がいて、学園闘争中、学校封鎖のため弟子志望で訪問したことがあるのは今となってはいい思い出。「旬に生きる」が信条、老いてさらに勝負勘を磨く。
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