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森田真司
ザ・長距離戦を演出した個性派
前半の隊列のまま4角を回り、直線での決め脚勝負。中距離以上の芝のレースでは、こんな競馬がよく見られる。俗に言う“スローペース症候群”である。
そんな昨今だけに、今年の天皇賞・春は見応えがあった。逃げると思われていたナムラクレセントの出遅れから始まり、押し出される形でゲシュタルトがハナを切った。この時点ではいつもの超スローだったが、スタンド前でコスモヘレノスが動くと、1番人気のトゥザグローリーも進出。そのまま行くかと思われた時に、2角で中団にいたナムラクレセントが一気に先頭に。それまでは、スローのよくある流れだったが、ここでスタミナ勝負のレースへとガラッと展開が変わってしまった。道中で何度となくスタイルが変わる―。これぞ『ザ・長距離戦!』。まだ半分も終わっていないが、間違いなく自分の中での今年のベストレースである。勝ったヒルノダムールは本当に強かったが、この最高のレースを演出したのはナムラクレセントだろう。
後日、担当している福島厩舎の房野助手に話しを聞きに行くと「初めての出遅れるとは…。でも、そのおかげでお客さんを沸かせることができたし、これはこれで良かったと思う。ファンがあっての競馬だから」と敗因そっちのけで、競馬界全体を考えた本当にいいコメントが聞けた。ただ、最後は「普通に出ていれば、勝っていたはず」といつものビッグマウスで締めくくってくれた。次走の宝塚記念では、どんな競馬で盛り上げてくれるのか今から楽しみだ。
(栗東想定班・森田真司)
2011年05月11日
著者紹介
森田真司
プチ自慢になってしまい申し訳ないが、最近私生活の充実度がすさまじい。この勢いで馬券もバシバシ当てていくつもり。超能力がなくてもやれることを皆さんにお見せしたい。1972年7月8日、奈良県出身。栗東想定班。血液型B。
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