苦労人のさらなる飛躍に期待

　この夏、応援しているジョッキーは？そう聞かれたら、迷わずに「酒井学！」と答える。今年は負傷した影響から３週のブランクがありながらも、すでに２２勝。２５勝を挙げた昨年をはるかに上回るペースで勝ち鞍を量産している。

　苦労人を復活させたのは０９年北九州記念だった。０１年以来、８年ぶりの重賞勝ちに「１勝しかできない年（０６年）もあったけど、くさりかけたときに西園先生に支えてもらった。ジョッキーをやめないでよかった」と酒井学Ｊは目を潤ませた。先日、西園厩舎の３００勝を決めたのが酒井学Ｊ。偶然ではなく、運命に導かれたメモリアルＶだった。

　１０年には小倉記念を勝ち、２年連続の重賞Ｖ。相性のいい夏の小倉開催は自ずと力が入る。栗東トレセンでは８頭の追い切りをつけることもある。「飲み物を１回口にしただけで休む間なんてない。でも、乗っているときは疲れなんて感じない」。騎乗者が北海道へと渡り、分散されるこの夏こそが最も大事だということが分かっているからその表情にも充実感があふれる。

　地道に厩舎と関係を築いてきたことが今、実を結ぼうとしている。３年連続の小倉重賞勝ちを願いつつ、さらなる飛躍を期待したい。

（関西デイリー・井上達也）

2011年08月09日