激走の裏には確かな仕事あり

　多くの人から強さを支持され、人気を背負った馬が期待を裏切る例は枚挙にいとまがないが、その逆となる「何でこの馬が走ったんだろう？」という激走例の方はそこまで多くはない。

　最近では14日・新潟12Ｒを８番人気で勝ったベストランがまさにそれだろう。近走を振り返るとと、脚部不安で１年１カ月の休養の後、戦列に復帰して??着。しかし初の直線競馬となった今回は、ゴール前で鮮やかに抜け出して快勝。度肝を抜く変わり身を見せた。

　衝撃が大きかっただけに好走要因が気になり、同馬の担当である大島厩務員に聞いてみた。「中筋の不安を抱えていて、以前は角馬場中心にしか乗れなかったんだよ。それが近ごろは馬場で長めから乗れている。それで今回は体が絞れていたからね」と、まず状態面の上昇を取り上げた。

　その後「気難しさが解消されつつあり、以前より落ち着きがあったのも良かったね。集中力という面から距離が合っていたのは確かだろうが、力を出し切ればこれぐらいは走っていいかな。でも、本音は掲示板ぐらいかなと思っていたから、オレも驚いたよ」と細かく説明してくれた。

　激走の裏には腕利き厩務員さんの確かな仕事あり―。必然の変わり身だったのかもしれない。

（美浦想定班・工藤　修）

2011年08月26日