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胸を熱くさせてくれた名手がムチを置く
時代を切り開いた名手がムチを置く。20日を最後に調教助手に転身することを決めた赤木高太郎騎手。周囲からは?まだやれる?との声が聞こえるだけにその幕引きは残念でならない。だが、赤木騎手自身は新たな出発に向け、すがすがしいほどの表情を見せる。
昨年の2月。落馬による負傷が将来を考えさせる時間となった。「冷静になった時にそろそろ考える年かなと思った」。87年に園田でデビューして以来、頭には?騎手・赤木?のイメージしかなかったが?調教師?という新たな選択肢が浮かんだという。「具体的に見たら?すごい仕事?という気持ちが芽生えてきた。これまでやってきたことを糧にできる仕事。そこを目指すには時間があるようで実際はあまりないからね」と話す。
地方在籍時は1176勝をマーク。03年に地方騎手として初めて1次試験からJRAの騎手免許試験に合格。新しい風を吹き込んだ。「15歳のときにバッグひとつで岡山から勝負の世界にやってきた。体が小さいというだけで何も分からないまま試験を受けて…。最初は何もできずに教官に怒られ、騎手になっても先輩に怒られ続けた。いま考えればよくここにいるなと、運がいいなと思う。それだけ騎手は引きつける仕事でしたね」とこれまでの歴史をかみしめながら、静かに笑った。
10月21日から橋口厩舎に所属。引退後は同厩舎で引き続き調教助手となる。「今はスタッフの一員として頑張らないと。運動したりして、地方の騎手に戻ったみたい。新鮮でいいね。橋口厩舎は学ぶ面が多く、モチベーションも上がる。この年でやりがいのある仕事ができるのはありがたい」と感謝する。
騎手としての最終週、17日は園田競馬で騎乗を予定。「引退式をやってもらうみたいなんです。小牧さんや岩田騎手も乗るのでオールドファンも喜んでくれるのではないかな」。記者もタコの天ぷらを片手に園田競馬を満喫していたクチ。当時を思い出し、胸が熱くなった。
(関西デイリー・矢野幸一)
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