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いかに自然体でいられるか…。
有馬記念の紙面企画は冠名ピサで知られる“市川ファミリー”を取材させてもらった。ヴィクトワールピサを購入したきっかけを聞くと「馬も見ないで1、2分で決まった」と義美オーナー。角居厩舎に預けた理由も「食事会でたまたま角居さんが隣に座ったから」というのだから驚いた。“オーナーが力を持ちすぎる”と感じる昨今。馬主からのトップダウンが当たり前の時代だから、それが悪いとは一概にはいえない。ただ、人情味のあるオーナーはやはり応援したくなる。
生粋の関西人だった。「馬の状態なんて私らにはわからんのやから、厩舎に任せておけばよろしい。使うレースやジョッキーも厩舎任せ。賞金も気にしたことがないし、厩舎やジョッキーに文句を言ったこともない」。“どんぶり勘定ですね”と伝えると、長女の真奈美さんが「そうそう。おおざっぱすぎて。でも、人間関係を大事にする。そこからいろいろと始まっていく人なんです」と笑った。私の父も大阪出身のナニワ商人。重なる部分が多かった。
娘婿の利寛氏が厩舎とのパイプ役を務める。「調教師の先生が言いにくいだろうなって思うことは、こちらから伝えるようにしています」と利寛氏。ワンクッションを置くことでうまく機能していることを感じた。
オーナーになって21年目で待望のG?勝利を挙げた。一気に世界の頂点を獲っても、「世界一になったっていう気持ちがあまりない」と義美オーナーの姿勢は変わらない。きっと、この先もいい馬が集まり、いい厩舎に恵まれるだろう。流れに身を任せる―。いかに自然体でいられるか。自分の来年の目標だ。
(関西デイリー・井上達也)
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