５年越しの大記録達成を願う

　ドーハの悲劇とは93年10月28日にカタールのドーハで行われた日本とイラクのサッカーの試合で、終了直前のロスタイムで同点ゴールを決められ、ワールドカップ初出場の夢が絶たれた俗称のこと。試合後、ラモス選手が呆然としていた姿は今でも脳裏に焼き付いている。その４年後、日本はワールドカップ初出場を決めて、ジョホールバルの歓喜となった。

　ドーバーの悲劇とは07年２月３日に小倉競馬場で行われたＧ?・小倉大賞典で、蛯名騎乗のエイシンドーバーがアサカデフィートに外から差し切られ、ＪＲＡ全場重賞制覇の夢が絶たれた時のことを、筆者が勝手に名付けたもの。レース後、ぼう然として足立山を見つめてヘコんでいた自分を今でも思い出す。その後、頑張り屋の栗毛は阪急杯と京王杯ＳＣの重賞勝ちを決めて、関係者は歓喜することとなった。

　あれから５年、名手がコスモファントムで史上４人目の大記録に挑む。「これが最後のチャンスぐらいのつもりで乗るよ」と相当な意気込みで臨む構えだ。いつも不機嫌そうな顔をしており、一見、近寄りがたいジョッキーだが、後輩の面倒見が良く、マスコミへの対応も親切な人格者。それだけに記録達成を待ち望んでいるのは筆者だけではないはずだ。

（美浦想定班・武山修司）

2012年02月03日