中野師とアイネスフウジンとの出会い

　ふとした縁で名馬と巡り会うこともある―。中野師がジョッキー時代の思い出について、こう懐かしそうに振り返ってくれた。

　「今から２０年以上前の話になるかな。小倉出張中に車がスリップしてしまい、軽い交通事故を起こしてしまったんだ。当然、警察官がやってきて風船を膨らませられたんだけど、アルコールの反応が出てしまったというわけ。シラフのつもりだったものの、前日に飲んだ酒がまだ微妙に呼気中に残っていたのかもしれない」

　「それをマスコミに『中野栄治、飲酒運転』と派手に書き立てられてしまってね。揚げ句の果てには助手席には女性が座っていたなど、真実でないことまで記事になってしまったんだ。それを読んだカミさんが『その女性は誰なの？』とカンカンに怒ってしまい、美浦に強制送還されることに…。そのタイミングで、ありがたいことに声をかけてくれたのが加藤修甫先生。そして、騎乗させてもらえることになったのがアイネスフウジンだったんだ」

　その後、ダービー馬まで登りつめたのは周知の通り。さまざまなアクシデントが重なっての、中野師とアイネスフウジンとの出会い。助手席に座っていた？女性について、どう弁明したかは定かではないが、時効ということでもう大丈夫でしょう。

（美浦想定班・文元　仁）

2012年02月15日