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岩手の怪物よ安らかに
3月6日早朝、トウケイニセイが亡くなった。昨秋の当欄でも紹介しましたが、現役時代に所有していた小野寺喜久男氏が、種牡馬を引退した後、功労馬として余生を送るため、岩手県滝沢村の「馬っこパーク・いわて」に預託。自ら資金を出して面倒を見ていましたが、東日本大震災で被災し、飼育困難になる悲劇に遭いました。
そこで立ち上がったのが、現役時に一緒に時を過ごした有志が集まって設立した「トウケイニセイ基金」。順調に資金も集まり、これからという時の悲報でした。昨秋に現地の関係者に聞いた話では「元気がない時もあったが、今は元気でのんびりと過ごしています」と聞いて安心していたのに、こんなに早くに別れの時が来るとは思ってもいませんでした。
平成7年3月。自分が道営から岩手に移り、初めてトウケイニセイを見てから17年。脚元の不安でまともに調教もせずに出走し、あれだけの強さを見せた馬は今の今でもこの馬しか知りません。南部杯で初めて3着に敗れた時のショックは今でも覚えています。先日、調教師転身を表明した菅原勲騎手も“思い出の馬は”と聞かれ、G?馬メイセイオペラではなく「トウケイニセイ」と答えていました。脚元がまともだったらどれだけ強かったのか。きっと天国では痛いところなんてない、本当のトウケイニセイが競馬をしていることと思います。強いんだろうな。心からご冥福をお祈りいたします。
(栗東時計班・安藤浩貴)
2012年03月31日
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