元調教師・加藤修甫さんとの思い出

　ここで皐月賞の回顧でも書こうかと思っていたところ、突然、元調教師の加藤修甫さんの訃報が飛び込んできた。筆者が初めて想定班としてこの業界に入った時、最初に担当した厩舎である。

　師は前年にアイネスフウジンでダービーを制覇し、ＪＲＡ賞最高勝率調教師賞を獲得したトップトレーナーであった。取材に行くと、駆け出しの記者の的はずれな質問に対しても、怒らずに丁寧に答えてくれたのを思い出す。

　厩舎担当は業務の都合のため半年で変わってしまったが、同じ北馬場の担当だったので、師には時々呼び止められて、想定メンバー表を見せてほしいと言われたり、筆者の気になる馬の質問をしたりと、気兼ねなく接していただいた。師のジャッジは的確で、幾度となく馬券でおいしい思いをしたものだ。

　その後、南馬場の時計班に変わり、さらに栗東へ転勤してしまったが、師から教えられた馬に関する知識は今でも有効に使わせていただいている。ご冥福をお祈りいたします。

（栗東時計班・竹原伸介）

2012年04月18日