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世界の主流から外れた伝統の一戦
ノースフライトの大ファンだった筆者にとって、同馬の孫に当たるビートブラックの天皇賞制覇には、馬券を忘れて歓喜した。石橋脩騎手の騎乗も文句なかったし、馬場の恩恵があったにせよ、勝者にふさわしい堂々たる内容だったと思う。
しかし、である。今年の長距離重賞では同じようなレースがあまりにも多すぎやしないだろうか?人気薄の先行押し切りは、ダイヤモンドSのケイアイドウソジン、日経賞のネコパンチに続き今年に入ってからはや3度目。馬券を買う側としては穴を狙いやすいとも言えるが、興行としては果たしてどうだろう。
この問題に接した時、よくジョッキーの騎乗が消極的との批判がある。もっともだと思う一方で、同情の余地もあるように感じる。なぜなら、世界にはマイルから12F戦でチャンピオンを競っている流れがあり、日本の生産者も配合からこの距離を当然意識する。そして、育成、調教でも中距離で天下を取るために最良の方法が施される。そのため、長距離戦は多くの馬にとって、結果的に守備範囲外となり、騎手は折り合いを付けることにウエートを置かざるを得なくなるからだ。問題は現状の番組構成が需要と供給のバランスを欠いている点にあると考える。
ならば、そろそろ天皇賞・春の距離短縮について議論を始める時が来たのではないだろうか。このまま立ち止まることなく、3200mで古馬最高峰レース・天皇賞・春を施行し続けることに、個人的には違和感を覚え始めている。
(美浦時計班・森元要輔)
2012年05月03日
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