ブリランテを素直に称えたい

　２００５年５月２９日は、我が競馬人生において衝撃を覚えた唯一の日。レース前のイレ込みや出遅れなど、どこ吹く風。大外まくりで、まさにジェット機のような加速力で他馬をごぼう抜き…ディープインパクトが日本ダービーを制したその日である。

　あれから７年。当時と同じ場所で、彼の息子が頂点に立つ場面に立ち会えたことは深甚なるものがある。新馬→東スポ杯２歳Ｓを連勝したディープブリランテだったが、年明け３戦は???着と３連敗。折り合いの難しさを露呈し、東京の２４００ｍを乗り切るのは至難…というのが個人的な見解だった。サラブレッドは日々進化し、成長し、または学習するものであると、改めて思い知らされた。今思えば、パドックでは過去にないほどの落ち着きぶり。大舞台で頂点に立つことが当たり前と言わんばかりの風格を醸し出していたのかもしれない。

　ハイペースの消耗戦をしのぎきったディープブリランテは、素直に称えるべき強者だろう。後ろからの競馬しかできない馬は、それが弱点であり、弱さなのだから。

（美浦時計班・加藤剛史）

2012年05月30日