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どのレースよりも重いダービー
自分の本命馬が最下位だったことを除けば、今年のダービーは素直にいいレースだったと思う。
毎日付きっきりで調教をつけて意思の疎通を図ったことが最高の結果として実り、ディープブリランテの岩田が号泣。2着フェノーメノの蛯名も涙した(その場面を見逃したのは原稿を書く者として痛恨だったが…)。死力を尽くしたとの表現がしっくり来る消耗戦にロングスパートで持ち込んだ、3着トーセンホマレボシのウィリアムズの騎乗ぶりも圧巻だった。馬主、生産者はこの競馬の祭典を目標にして、ファンはみんなが盛り上がり、騎手もこの一戦に神経を研ぎ澄ます。やはり、ダービーというレースは特別なものなのだ。
フェノーメノを管理する戸田師はレース後、悔しさをにじませつつ舞台裏=調教師席での様子を明かした。スペースに限りのある紙面では書き切れなかった、その一部のコメントを紹介したい。
「僕の周りにいた仲のいい調教師たちは、最後の直線で(フェノーメノが末脚を伸ばし)“行った!行った!”と大声が出ていて、でもゴールの瞬間は“アーッ”と…」
「同着でもいいと思ったんだけど…。ゴール前のリプレーが放映されるまでのわずかな間、そばにいた小島太さん(調教師=騎手時代にダービー2勝)が“勝ったら死んでもいいだろ?”と言うから、思わず“死んでもいい!”と答えちゃったくらい。でもやっぱり、負けちゃっていたね…」
取材のメモを改めて読み返してみても、ひとつひとつの言葉に“熱さ”がある。繰り返しになるが、やはりダービーはどんなレースよりも重いのだ。勝者も敗者も、特にあと一歩で戴冠を逃した蛯名や戸田師はより一層ダービーを勝ちたいとの思いが強くなったに違いない。来年もまた、いいレースが見られることを期待している。
(関東デイリー・野田口 晃)
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