福永が渡米する真意とは…

　ビザの発給さえスムーズだったら、福永Ｊは今ごろ渡米していただろう。残念ながら延期となったが、おそらく７月からは米国で騎乗することになる。

　「最初はデルマーで乗せてもらう。途中からは東海岸に行くかもしれんし、そのへんは流動的やね」と福永Ｊ。デルマー競馬場といえば、太平洋に面したロケーションや、映画にもなったシービスケットが走っていたことでも有名だ。

　現在、全国リーディングトップを快走しているが、２カ月も日本を離れれば、その座も危うくなる。それに帰国してからＧ?に乗れる保証だってない。「そんなの関係ない。日本で結果を出すために海外へ行く気なんてなかったからね。自分が一番いい時に行きたいんだ。自分の人生やし」。旬の時期にこそ、行って価値があるというわけだ。

　渡米の目的は勝つことだけじゃない。「簡単に勝てるなんて思ってない。どれだけ通用するのか確認したい。やれる手応えをつかめるのか。それを感じたい。今年で終わりってわけじゃないから。あと10年は騎手をやりたいし、“あの時に行っておけば…”と思うよりも“行くんじゃなかった”と思う方がええから」。退路を断ち、前だけを見つめる―。イキイキとした表情がまぶしく感じた。

（関西デイリー・井上達也）

2012年06月26日