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体のバランスが多方面に影響
騎手や調教助手は感覚的にものを話す人が多い(あくまでも個人的な意見ですが)のだが、お世話になっているA助手はなかなかの理論派だ。先日、会話のなかで「へえ?」と感心させられたことを紹介しよう。
私の“腰痛解消”が主題だったのだが、彼いわく「馬も人も一緒」だという。要は普段の姿勢が悪いから腰痛が起こる。裏を返せば、姿勢を正せば腰痛は確実に治る、というのである。
そのときに、A助手が唱えた説が非常に面白かった。「馬は草食動物ですからね。安心して草を食べるには、いつでも逃げられるよう常にいい状態じゃないといけない。もしも体に痛いところがあったら、肉食動物に狙われたときにビクビクしますよね。そのストレスで下痢になったり、熱発するんです。鼻出血もそう。おそらく、屈腱炎だって因果関係がありますよ。ストレスがかかって体を萎縮させるから、ストライドが狭まって腱に負担がかかる。松浦さんの腰痛にも同じことが言えると思いますよ」。
この話は血統にまで及ぶ。「よく“○○産駒は気性が荒い”とか言いますよね。あれは気の悪さが伝わっているというよりも、体のバランスの悪さが伝わってると思うんです。親のゆがんだ骨格が伝わると、子どもも似たようなところが痛くなりやすい。逆に言えば、いい種牡馬ほど産駒に体のやわらかさが伝わっているんだと思います。健康な馬って、大体はおとなしいものですよ」。
なるほど…と妙に納得したのだが、もちろん真偽は明らかではない。ただ、彼の力説を聞いて、私は競馬の見方が少し変わりました。
(関西デイリー・松浦孝司)
2012年07月24日
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