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我が競馬人生を狂わせた一頭
弥生賞を制し、3歳世代初のディープインパクト産駒重賞勝ち馬となったカミノタサハラ。その前々日の金曜日、管理する国枝師は坂路モニターで登板する姿を「うちのVIP」と称して目を細めて眺めていたが、確かにその気配は抜群に映った。スケールの大きさを十二分に感じさせた新馬戦の勝ちっぷりからダービー候補とみて、お気に入りとなったタサハラ。2戦目のホープフルSではデイリースポーツ紙上のコラムで激奨し、かなり馬券も買ったのだが、結果は3着。そのレースが頭から離れず、そしてここで勝ってもらっては今後おいしい配当が得られないという個人的かつデタラメな理由により、◎を打つことをためらった。それが、どうだ。やはり、能力高さを発揮しての堂々たる勝ちっぷり。ゴール後は例えようのない複雑な気持ちとなった。
「孫の代になっても変わらないものなのか…」。これはタサハラの祖母クロカミとの相性の悪さに対しての嘆き。好きになる馬は多々出てくるが「この馬は苦々しい」というのは36年を越える馬券ライフでただ一頭。優秀で均整のとれた美しい名牝だったが、決して忘れることない、八つ当たりをしたい女の子だ。
というのも以前に別の競馬専門紙に在籍していた時の話。その専門紙では条件別での本紙予想制を敷いており、96年の年頭から新馬担当を拝命。当初はまずまずの滑り出しだったが、断然人気が予想されるクロカミをを○にして「1社外し」(全専門紙で1社だけ予想を外してしまうこと)をしてしまったのだ。結果はど本命レース。しかも「人気が分からない専門紙ではお客様はついてきてくれない」という考えを持っていた社長が中山競馬場に来ていたのだが、当方は韓国でバカンス中。「1社外し」をした担当者が競馬場に不在というまずい状況で、帰国してどんなことが待ちうけていたかはご想像にお任せしますが、当然、即刻本紙担当からは外されました。
いろいろあった一族ですが、これからは違います。彼女の孫であるこの少し脚の長い男の子。強い馬であるという信念のもと、今後どんなレースであれ迷うことなく買い続けていきます。
(美浦厩舎班・工藤 修)
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