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胸に響いたトップトレーナーの一言

 「知ったようなことを軽々しく口にするもんじゃないな」。先日、レース後の取材の際に、そう痛感させられた。

 舞台は8月25日の小倉競馬場。1Rの2歳未勝利戦。武豊騎乗の1番人気デリッツァリモーネが、好位から鮮やかに抜け出して初勝利。早速、脱鞍所へ向かうと、ジェンティルドンナでおなじみの日迫助手が、満面の笑みを浮かべて愛馬を出迎えていた。

 その横には、常に冷静沈着な石坂師の姿があった。不良馬場を克服しての勝利に、こちらから「タフな状況のなか、頑張りましたね」と話しかけると「そうやね。強い競馬やったね」と師。硬く映った表情が、安ど感からか少し緩んだように見えた。

 ちょうど今は3歳未勝利馬にとって正念場。連戦が続く馬たちに、私はいつも「頑張れ、勝てば休めるんだぞ!」と心の中でエールを送っている。そう考えると、2歳の夏に早々と勝ち上がったデリッツァリモーネはエリート。私は師に「勝つことでひと息入れられますし、休むことで成長を促せるのは大きいですね」と水を向けると、師も同感のようで「そうやね。このあとはひと休みやね」と首を縦に振った。

 今振り返れば、師と思いを共感できたことで、私は得意げな顔をしていたのかも知れない。次の瞬間、師は「でもな」と言ってくぎを刺すようにこう続けた。「もちろん、勝って休ませるのが一番やけど、本当に大切なのは“負けたあとに休ませること”なんやで」。

 2、3着が続くと「次こそは」と連戦したくなるのが人間の心理。そこをグッとこらえて、馬の疲労を第一に考えることが最も大切だと師は言う。それには馬主を説得しなければならないし、育成に対する固い信念が必要。トップトレーナーのひと言は、ずしりと胸に響いた。デリッツァリモーネも、新馬戦3着後の休養が奏功し、3戦目で勝利を手にした。競馬って奥が深いな…と40歳にして再認識した次第です。

(関西デイリー・松浦孝司)

2013年09月03日