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メジロ牧場を災害から救った無名馬

 今回の大震災とは規模は全く違う話だが、災害から大手牧場を救った無名な馬が、かつていた。

 1977年8月に北海道の有珠山が大噴火を起こし、麓の虻田町にあるメジロ牧場の放牧地は20センチ以上の火山灰に覆われてしまい、牧草は全滅してしまった。火山灰を除去し、牧草を植え直すには莫大な費用が必要だったが、当時のメジロ牧場にはその余裕がなかった。メジロ牧場の特徴は生産馬を全く売却しない「完全オーナーブリーダー」にあり、その方式で顕著な成功をみせていたが、世間一般的には不安定な経営に見え、銀行からの融資を受けられなかった。

 メジロ牧場の収入源である現役馬は、当時はメジロムサシ、メジロアサマの両巨頭が引退した後で、メジロファントム、メジロイーグルらはまだデビューしたばかりと、オープン層が手薄な時期と重なっていた。その時に救世主となったのがメジロアシガラという障害馬だった。

 平地成績は26戦2勝と目立たなかったが、父インディアナ、母の父ワラビー譲りのスタミナが買われて7歳から障害入り。有珠山の噴火直前から大ブレークを果たし、年末までに新潟障害Sなど9戦5勝。平地よりも高額賞金の障害競走で8000万円を荒稼ぎし、放牧地改修の費用をすべて賄い、その後のメジロ牧場の発展を影で支えたのだ。

 JRA重賞を100勝以上もしているメジロ牧場の所有馬の中で、メジロアシガラは重賞勝ちがない。それでも牧場にとってかけがえのない功労馬であったため、引退後は白老町の養老施設オーシァンファームに預託し余生を全うした。

 日本を襲った未曾有の災害を救うメジロアシガラのようなサラブレッドはいないが、スーパーホースの登場は日本人の心を元気にしてくれる。戦後競馬を大いに盛り上げたトキノミノルのような名馬が、再開される競馬開催から誕生することを願いたい。

2011年03月18日