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4冠馬の逸走は名馬特有の感性
阪神大賞典でのオルフェーヴルの迷走ぶりはさまざまな論議を呼んだ。オールドファンは、一度止まりそうになりながら盛り返して圧勝したマルゼンスキーの日本短波賞や、3角で全く手応えを失くしてしまったダービーのシンボリルドルフを思い出したかもしれない。マルゼンスキーは返し馬で止まった地点がインプットされていたようだし、シンボリルドルフはまだ仕掛けるのは早いと自分で判断したのだと言われている。ディープインパクトも菊花賞では1周目をゴールと勘違いしていた。馬券が絡んでいるので厳しい意見が出るのは当然だが、歴史に残る名馬には他の馬と違った感性があるのだと考えると、ほほ笑ましくも思えてくる。
血統面との関わりも面白い。父ステイゴールドはデビュー3戦目の京都・未勝利戦で、単勝1・9倍に推されながら4角で外ラチに向かってて逸走し競走中止した。種牡馬入り後もエピソードは豊富。放牧地に鹿が迷い込んだ時、他の馬は恐怖心で逃げ惑っていたのに、ステイゴールドだけは逆に追い回していた。無防備になる種付けの際は野生馬のようにキョロキョロと“外敵”を気にしながら一瞬でコトを終わらせる。相当な変わり者だ。
母方の祖母エレクトロアートは2戦目の函館・新馬戦のレース前に放馬し、馬場を1周回ってしまった。馬体検査で異常は認められずそのまま発走となったが、単勝1・3倍の人気だっただけに場内は騒然とした雰囲気になった。だがレースでは圧倒的な逃げ切りで2着に6馬身差。直前に1周余計に走ったロスを全く見せなかった。
とんでもないロスから2着まで追い込んだオルフェーヴルの怪物ぶりは、この血統から生み出されたものなのだろう。
2012年03月23日
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